一般皮膚科とは

一般皮膚科のイメージ写真

皮膚は私たちの体を外界から守ってくれる重要な役割を担い、常に温度や湿度の変化、紫外線や空気中のホコリ・花粉などの刺激にさらされています。ですから、様々なトラブルも起こりやすくなっています。
赤くなってかゆみがある、ブツブツと湿疹ができた、イボやおできができた、等々。そんな皮膚に何らかのトラブルを感じたら、まず受診いただけるのが、当院の一般皮膚科です。

当院では日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医で、女性医師でもある院長が、皮膚疾患全般にわたって診療を行い、患者様としっかりとコミュニケーションをとりつつ、視診や各種検査により、適切な診断・治療を行っていきます。
皮膚以外にも爪や髪に関するトラブルに関しても、診療を行います。

皮膚には内臓などの異変がサインとなって現れる場合もあり「皮膚は内臓の鏡」と言われます。
内臓疾患や血行、ホルモンバランス等の乱れ、ストレスの影響なども踏まえ、患者様の不安の解消や、不快な症状の改善に取り組んでいきますので、少しでも皮膚等に心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

一般皮膚科では次のような症状・疾患の診療を行っています

湿疹

湿疹とは、皮膚にかゆみがある赤みやガサガサ、ブツブツが現れる症状の総称です。
それぞれ原因などに応じて、かぶれ(接触皮膚炎)や手湿疹、アトピー性皮膚炎等の病名で呼ばれます。

湿疹は自然に治ることもありますが、放っておくと繰り返し症状が現れ、治りづらくなる場合もあります。
早期に治療することによって早期の改善が望め、慢性化、あるいは悪化を防ぐことができます。

皮膚は内臓の鏡とも呼ばれ、その皮膚に発生する湿疹には様々な要因があり、思わぬ病気が潜んでいることもあります。
気になる症状がありましたら、早めにご受診ください。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹などの症状が、慢性的に繰り返され、なかなか治らない皮膚疾患です。
乳幼児や小児だけではなく、20歳を過ぎた成人も発症する場合があり、成人の場合は約6カ月以上、顔や首、肘の内側や膝の裏などの部位に、左右対称に湿疹ができ、良くなったり悪くなったりすることが、アトピー性皮膚炎の診断の目安になります。

アトピー性皮膚炎について

じんましん(蕁麻疹)

じんましん(蕁麻疹)は、皮膚に円形や楕円形のはっきりとした赤い盛り上がりが、突然現れるのが特徴です。
大きさは2〜3mmのから数十cmくらいまで様々で、これらがつながることもあります。多くの場合、直接的な原因は特定できていませんが、かゆみを引き起こすヒスタミンが放出されることで起きると考えられています。

通常は数時間~24時間で消えるのが特徴で、この症状が現れたり、消えたりを繰り返すようになり、1〜2週間程度(最大6週間以内)で治まってしまうものを、急性蕁麻疹と呼び、6週間以上のもの(長いもので数か月から数年に及ぶ例もあります)を慢性蕁麻疹と呼びます。
蕁麻疹の種類は様々ですが代表的なものとして

アレルギー性蕁麻疹
食べ物や薬剤、昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるもの
物理性蕁麻疹
機械的擦過や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激により起こるものがあります。

しかしながら、特定の原因がなく出現する「特発性蕁麻疹」も多くみられます。
じんましんの治療としては、一番大切なことはできるだけ原因や悪化因子取り除く、または避けるようにすることです。
2番目に抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬の内服を行い症状が現れなくなることを目指します。外用薬はあまり効果が期待できません。

また2017年より特発性慢性蕁麻疹に対してオマリズマブ(ゾレア®)皮下注射が保険適応となっています。
ゾレア®について ≫

乾癬

乾癬は炎症性角化症の一つで、特徴的な皮膚症状は、皮膚が赤く盛り上がり銀白色の鱗屑(ふけ)が多量に付着しています。
好発部位は頭や肘・膝などのよく擦れる場所ですが、徐々に拡大し紅皮症状態(全身が赤くなり、病変で覆われる)に至る場合もあります。かゆみに関しては個人差があり、軽度から激しいかゆみを訴える人もいます。爪も病変が生じ、白く濁り、表面が凸凹としてきます。このような皮膚症状のほか、関節の痛み、赤み、腫れや変形、ときに発熱や全身倦怠感を訴える場合もあります。
この病気は人にうつる病気ではありませんが、見た目、痒み、関節痛などから、日常生活での支障や精神的ストレスは計り知れず、その程度は癌や心疾患などと同等という報告もあります。最近では、乾癬は全身性の炎症であり、心筋梗塞などの独立した危険因子であるとも指摘されています。

乾癬について

尋常性白斑

尋常性白斑とは、色素細胞(メラノサイト)が減少、あるいは消失することで一部の皮膚の色が抜けてしまい、皮膚表面が部分的に白くなる病気です。発症の原因については、完全に明らかにはなっていませんが、後天性の場合は自己免疫の異常、薬剤や化学物質、感染症などが考えられています。

同疾患は、顔、手、胸部、背部など様々な部位でみられますが、見た目以外で何らかの問題が生じるということはありません。ただ似たような症状がみられる病気というのはいくつかありますので、尋常性白斑なのか、それ以外の病気なのかをしっかり区別する必要があります。

皮膚の色素に対する免疫反応を抑えるためにステロイド外用薬などの治療を行います。白斑の元になった病気がある場合はその治療を行う必要があります。UVBを照射する方法(光線療法)も有効です。当院ではエキシマライトを使用しています。

掌蹠膿疱症

主に手のひらや足の裏に膿疱(膿が溜まっている小さな水疱)や赤い斑点(紅斑)が多発している状態を掌蹠膿疱症と言います。ちなみに膿疱の中身というのは、白血球の一種(好中球)が変化したもので細菌や真菌ではありません。
足裏に膿疱が発生している場合、水虫と思いこみ市販の水虫薬などで自己治療を行っていることがあります。皮膚科では顕微鏡検査で診断が可能です。

なお発症の原因に関しては、完全に明らかになったわけではありませんが、扁桃腺炎などの慢性的な感染症を発症している、喫煙者、金属アレルギーを持っているといった方に起きやすいと言われています。

治療には、病巣感染や金属アレルギーなど、病気を悪化させる要因があれば取り除くようにします。効果が見られない場合はステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏の外用、光線療法、生物学的製剤の皮下注射を行います。当院ではエキシマライトを使用しています。

水疱性類天疱瘡

類天疱瘡は、自己免疫疾患の一つで、表皮基底膜部に対する自己抗体により生じます。全身のあちこちに、痒みを伴う紅い斑点(紅斑)と大型の破れにくい水膨れ(水疱)とびらんがみられます。口腔の粘膜にも生じることもあります。

何らかの原因で自己抗体(抗表皮基底膜部抗体)ができ、その結果、表皮と真皮がはがれて表皮下に水ぶくれ状態を引き起こすものと考えられています。類天疱瘡の患者様は高齢者に多く、60歳以上、特に70~90歳の高齢者に多くみられます。

軽症の場合はステロイド外用薬や炎症を抑える内服薬などで治療します。
中等症・重症の場合は、ステロイド内服薬が治療の中心になります。難治の場合は入院治療を行うこともあります。

口唇ヘルペス(単純疱疹)

口唇ヘルペスは単純疱疹が口唇のまわりに出たもののことで単純ヘルペスウイルスⅠ型(HSV-1)が原因で発症します。口唇ヘルペスが有名ですが他の部位にも発症します。
特徴的な症状は、初めに発疹部の周辺にチクチクとした違和感や痛みを覚え、赤く腫れ、小さい水ぶくれが数個できその後かさぶたになります。多くの場合、複数個が現れます。
原因であるHSV-1は多くの人が子供のころに最初に感染しており、一度これに感染すると、体内の神経節にウイルスが潜伏し、発熱やストレス、日光照射が誘因となって体力や免疫力が落ちた際に再び活性化して発症(再発)します。
治療としては抗ウイルス薬の内服や外用を使用することで、多くは数日~2週間くらいで症状が収まります。

帯状疱疹

原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスは初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、この時に後根神経節内にウイルスが潜伏するといわれております。
それが何らかの誘因で、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。誘因としては過労や免疫機能の低下などがあります。
特徴的な症状は片側の神経に沿って痛みが生じ虫さされのような発疹がみられます。
その後小さな水ぶくれが多発します。約2週間でかさぶたとなります。

治療は抗ウイルス薬の内服を出来るだけ早期に開始することが大切です。また症状に応じて消炎鎮痛薬やビタミン剤の内服を行います。
部位によっては顔面神経麻痺症状や便秘、尿閉が起きることもあります。重症の場合は入院治療が必要です。

皮膚症状が治った後でも、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる痛みが、長期にわたって残る場合があります。神経ブロックなど皮膚科で行っていない治療が必要な場合はペインクリニックの受診をおすすめしています。
帯状疱疹後神経痛を残さないためにも初期治療が大切です。

いぼ(ウイルス性異常性疣贅)

「いぼ」はウイルス性疣贅(ゆうぜい)とも尋常性疣贅とも呼ばれます。原因はヒトパピローマウイルスで、このウイルスが微小な傷から侵入し、感染することによって起こります。子供の手指や足の裏などにできやすく、中には治癒するまでに数か月以上と長期にわたったり、多発したりする場合もありますので注意が必要です。

症状としては、数mm~1cm程度の小さな皮膚の盛り上がりができます。1つだけの時もありますが、多発することもあり、さらに集まって融合し、広がってしまうこともあります。ほとんどの場合、痛みはありませんが足の裏にできると歩く際に痛みを感じることがあります。

治療としては、液体窒素を用いた、冷凍凝固術を行います。いぼの治療は定期的な通院が必要です。なるべく待ち時間を少なくするために診察とは別に処置枠での予約を行っています。

白癬(水虫・タムシ)

白癬とは皮膚糸状菌という真菌(カビ)によって生ずる感染症です。白癬は俗称で呼ばれることが多く足にできたものを水虫、股にできたものをインキンタムシ、頭(髪の毛)にできたものをシラクモ、体にできたものをゼニタムシと呼んだりします。

白癬の診断は皮膚表面をメスやハサミでこすり取り顕微鏡で観察します。
治療は、抗真菌薬の外用を行い通常1~2か月程度で良くなります。

また、爪に感染したものを爪白癬と呼びます。爪の症状で多いものは爪が白色や黄色に濁り、厚くなって爪の下がボロボロになります。
爪白癬の治療は原則内服薬を使用しますが、軽症の場合や内服薬が使えない場合は外用薬を使用します。
内服薬は1日1回12週間飲み使用前・使用中に血液検査を行います。

たこ・うおのめ

「たこ」は慢性的に物理的刺激を受ける部位にできるもので、皮膚の角層が表面方向に肥厚してできます。足の裏の他に、手の指(いわゆるベンだこ)、足関節背部(正座によるすわりだこ等)などに発生します。
「うおのめ」は、厚くなった皮膚の角層の中心部分が、表面方向ではなく真皮の方へと深く侵入してしまった状態で、歩行時などに痛みが出る場合があります。
治療はニッパーやコーンカッター等で角質を削って除去します。現在月2回まで保険が適応されます。

にきび

にきびは、皮脂の分泌が多いことと毛穴の先が詰まることで、毛穴の中に皮脂がたまることで始まり、この状態が面皰(めんぽう)です。面皰の中はアクネ菌が増えやすくなっており赤くなったり膿がたまったりします。
治療は毛穴のつまりを改善する外用薬を使用します。また、症状に応じて抗生剤や漢方薬を使用します。
ニキビの治療には正しいスキンケアが大切です。当院ではノンコメドジェニックの化粧品を多く取り揃えております。まずはサンプルを試してみることをおすすめしておりますので診察の際にご相談ください。

ホクロ

ホクロとは母斑細胞が増殖した良性腫瘍です。一口にホクロと言っても形状は平坦なものもあれば隆起するものもあり、色についても皮膚と同じ色、茶色、黒色と様々あります。ホクロの場合は良性のため治療の必要はありません。

ただし、ホクロのように見えても、悪性黒色腫や基底細胞癌といった皮膚癌のことがありますので、自己判断せずに、皮膚科専門医を受診し、本当にホクロかどうか診断を受けてください。当院ではまずダーモスコープという器具を使い悪性か良性かを診断します。判断が難しい場合は複数医師による検討を行い、必要があれば皮膚生検(一部切除して病理検査を行う)を行います。皮膚生検に関しては連携施設に紹介することもあります。

多汗症

多汗症には全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増える局所多汗症があります。全身性多汗症には特に原因のない原発性と感染症、内分泌代謝異常や神経疾患に合併するものがあります。
局所性多汗症も原因のわからない原発性と外傷や腫瘍などの神経障害によるものがあります。原発性局所性多汗症では手のひら、足のうらやワキなどの両側に過剰な発汗を認めます。

原発性局所性多汗症の治療は部位によって異なりますが、塩化アルミニウム外用薬やイオントフォレーシスを行います。
また、腋窩の多汗症に対して日本で初めて健康保険が適用となった抗コリン作用をもつ外用薬(エクロックゲル®)があります。
原発性局所性多汗症には診断基準がありますのでまずは診察を受けてください。

エクロックゲル5%について

日本で初めて健康保険の適用が認められた、原発性腋窩多汗症用の塗り薬です。
1日1回、両わき全体に塗布します。
エクリン汗腺が交感神経から伝えられる汗を出す指令を受け取れないようにブロックすることより、発汗を抑えることが期待できます。

エクロックゲル5%のはたらきのイラスト
  • エクリン汗腺は、皮膚の中にある汗をつくる器官のひとつで、主に体温調節のために、水分の多い汗を分泌します。多汗症の症状である多量の汗は、主にエクリン汗腺から出ています。
手汗について

エキシマライト

アトピー性皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑、円形脱毛症などの難治性疾患に有効です。従来の紫外線療法で改善しにくかった皮膚病変にも効果があり、安全性が高いことも確認されています。
従来の蛍光灯などによる紫外線治療に比べ、患部をターゲットにしたピンポイントかつ強力な照射ができ、患部だけを安全かつ効果的に治療することが可能です。
他の治療法と併用することで、相乗効果で症状の更なる改善を期待することもできます。

週2回ぐらいの間隔で治療を行うのが理想ですが、週1回または2週間に1回の治療でも充分なケースも多いです。

治療中は痛みや熱感は、ほとんどありません。適度な赤みが出るのを目安に照射しますが、数日でおさまります。反応が強く表れた場合、ほてりを感じたり赤みが長引いたりすることがあります。また照射した部分に一致して、日焼けしたあとのように色素沈着がおこりますが、照射を中断すれば徐々に元に戻ります。

アトピー性皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑、円形脱毛症などに保険適応があります。